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2009年5月

2009年5月13日 (水)

「奇妙な記者会見!」5.9桝添康生労働大臣

Mx2300fg_20090513_162614_4 5月9日夕刊各紙一面トップに「新型インフルエンザ国内感染確認」に関する記事が掲載されました。

前日8日夕刻にカナダから成田へ到着した国際線の機内で、3名の乗客が新型インフルエンザに感染したことが確認されました。

翌9日午前8時30分から行われた厚生労働大臣の記者会見では、水際で感染者を発見でき隔離したことから「検疫で入国前に確認されたもので、対処方針上国内で患者が発生した場合に当たるものではない」とコメントしています。そして、その後この感染確認をWHOに報告するのか、という記者からの質問に対して大臣は「WHO基準では国内に感染者がいることになるので、感染国に加わることになる」と答えています。

この大臣の奇妙なコメントは、理解できますか?

すでに全世界で感染が始まっている新型インフルエンザについて、WHOでは5月9日現在でフェーズ5を指定しており、フェーズ6(世界的感染:パンディミック)への改訂時期を検討している段階に入っています。

日本では今年の2月に改訂最終決定した政府の新型インフルエンザ対策行動計画が策定されており、この計画によると国内の状況は第一段階(海外発生期)に当たるとしてます。今回成田で3名の方が新型インフルエンザに感染確定したことを国内感染と認定すると、国内の状況が第二段階(国内発生早期)にあがることになります。

政府の行動計画第二段階になると①水際対策では▽機内検疫を強化し不要不急の出国自粛、▽発熱がある人のチェックインを拒否するよう航空会社へ勧告、②国内の感染防止対策として、▽外出を控える、▽集会や興行施設の活動自粛、▽学校の臨時休校、▽事業所の不要不急業務を縮小するよう要請、等など市民の行動制限や経済活動の制限を要請(強制ではありません)することになっています。

ですから、この日の厚生労働大臣のコメントは、国内感染が発生した第二段階と認定するかどうか、社会的な影響を配慮した大変に微妙な判断・表現になったわけです。

こんな微妙な表現せずに、早期に行動計画の内容を見直すべきでしょう。

「現状のリスクの適切な評価と的確な対応!」が、危機管理の基本です。

今年の3月頃からメキシコを起源として突如感染が広がった今回の新型インフルエンザA(H1N1)ウィルスについて、徐々にその正体が解明されてきています。多くの専門家がこのA(H1N1)ウィルスは、それまで想定してきた高病原性の鳥インフルエンザウィルス(H5N1)とは異なり、感染力は強いが病原性は低い、毎年流行する季節性インフルエンザ程度で、感染したとしても自然治癒の可能性もあり、タミフルやリレンザが効果あるウィルスである、と情報発信しています。

従って、国内感染の拡大はもう避けられない状況ですが、国民一人一人が予防対策を実施し、あなた自身の積極的な感染を防ぐことが、最も重要なことになります。

その具体的な対策とは ①マスクの着用、②うがい・手洗いの励行、③人混みを避ける、④健康管理、と毎年流行するインフルエンザ対策となにも変わりはありません。

しかし、新型インフルエンザとしているのは、これまで我々が感染したことがない新しいウィルスが発生し、人体に免疫がないからで、この点が毎年流行する季節性インフルエンザと大きく異なります。いつこのウィルスが変異して姿を変えてくるかがこれからの問題で、今年の秋から冬にかけて第二波の感染が懸念されています。

多くのメディアが、今回のウィルスを「弱毒性」と表現していることで、なんだ大したことではない、と理解して前記の予防策を怠ると、積極的に感染する可能性がたかくなります。

現段階では、無用に恐れパニックに陥る必要は全くありませんが、油断大敵であることには変わりありません(2009年5月9日記)

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2009年5月 2日 (土)

「正しい情報に基づき、的確な行動を」の不思議?

Ph09043001 「国民の皆様には正しい情報に基づき、的確な行動をお願いしたい」

これはここ数日、桝添厚生労働大臣と麻生総理の会見で必ず発信されるコメントである。

「正しい情報」とは、なんなのか?「的確な行動」とは、どんな行動なのか?会見をテレビで見ている多くの国民は、よくわからないのではないだろうか。少なくても、いま起きている出来事を国家的な災害・危機管理という視点でウォッチしているこの私にもよくわからない。

「正確な情報で的確な行動」は、危機管理の原理原則である。

その典型的な出来事が、昨日5月1日深夜に発表された「横浜市の高校生が新型インフルエンザウィルス感染の疑い」という情報である。午前1時台に突然行われた桝添大臣の緊急記者会見で、この情報がテレビ・ラジオで伝えられた。国内感染第一号か?と、テレビメディアもパニックに陥った。

会見後に、横浜市に電話がつながらなかったことから桝添大臣が「市の危機管理体制に問題あり」とエキサイトしたコメントが伝えられた。このコメントに中田横浜市長が「大臣こそ落ち着いて対応してほしい」と反論している。

この顛末は、その後に「白」と判定され、当該高校の校長先生が「感染の疑いが晴れてほんとによっかた!」と涙を流す場面が放送された。そして、当該高校生は、回復に向かっている。

この昨日起きた一連の出来事は、WHOがフェーズ5を宣言している新型インフルエンザに対応する国や自治体の危機管理のトップが発信する情報なのだろうか? あきれてしまった。

一方、最も多くの国民が情報を得ているテレビ報道では、防護服を身にまとった検疫官が航空機内で検疫活動している映像が発信され、世界各国で発生している感染者数を次々と選挙速報のように伝え、同時に様々な専門家からのコメントが伝えられている。

この専門家のコメントも微妙に異なっている。今回の新型インフルエンザウィルスは、病原性について弱毒性の可能性があるので毎年発生しているインフルエンザの対策で良い、検疫による水際防止は困難、現段階ではマスクの着用までは必要ない、スペイン風邪の時のように強毒性に変異する可能性があるので厳重注意が必要である、等々。

いま未知なるウィルスが問題になっているのであるから、テレビ・ラジオ各局や新聞社、週刊誌などのマスコミが追いかけ回すのではなく、専門家には情報収集や研究の時間を十分に保証してあげるべきだと思う。専門家による正しくわかりやすい解説を、メディアを通じて国民に提供する役割は十分理解できる。

こうした情報に接触している国民は、いったい何が的確な行動なのか訳がわからないのが現状ではないだろうか。その結果、このゴールデンウィークに多くの旅行者が、不安を抱えながらフェーズ5の世界各国へむけて出発している。

たまたま私は4月30日に松山市へ防災講演(結局、新型インフルエンザがテーマになった)のために羽田から全日空機に搭乗した。しかし、ほぼ満席だったこの機内(B777)でマスクを着用していたのは私を含めて2名しかいなかったのには驚いた。帰りの機内(B767)でも、私を含めて7名であった。密室の機内では、マスク着用が必須な的確な行動であるのに不思議である。

今日5月2日、好ましい情報が米国CDC(米疾病対策センター)から発表したことを伝えた国際ニュースを見た。(2日昼ニュースまで国内テレビ地上波ニュースにはまだ伝えられていない)

「CDCは、今回のA(H1N1)ウィルスの病原性は低い。現在のA(H1N1)ウィルスにはスペインインフルエンザウィルスと鳥インフルエンザウィルスの毒性に関係する遺伝子が欠けている、と発表した。」

この情報は、今後どのように変異するか不明だが、現段階では弱毒性ウィルスであることになる。しかし、新型ウィルスであることから、今我々の体内に存在する免疫で対抗できるわけではないことが、弱毒性を安心情報としてとらえてはならないことも重要なポイントである。

そうであるならばつまり、この情報に基づき判断するならば、毎年我々が経験しているインフルエンザの対応を徹底することが予防のための的確な行動につながることになる。

その的確な行動とは、①マスクの着用、②うがい、③手洗い、④人混みを避ける、⑤健康管理、を徹底することとなる。

これからはこの的確な行動を、どれだけ国民一人一人が徹底して実施できるかが、危機管理のキーワードとなる。

耐震補強、備蓄などが地震対策のキーワードであることを阪神・大震災以降訴え続けているが遅々と進まない現状にある。残念ながら我が国の国民には地震発生への危機意識が低く自分の問題として捉えずに、こうした行動が徹底できないのが現状である。新型インフルエンザへの対応も、同様な事態になることは十分に想像できる。

ゴールデンウィークで多くの国民が海外へ出発し、帰国のピークが5月5~6日になるそうである。この人々が海外のおみやげとして新型インフルエンザウィルスをどれだけ持ち帰ってくるか、目を離せない。

もう一つ懸念がある。

今回の豚を由来とする新型インフルエンザですっかり陰に隠れてしまったが、全身感染を引き起こす強毒性の鳥インフルエンザH5N1が、フェーズ3のまま粛々と感染を拡げていることも忘れてはならない。

さらに、今年の秋から冬にかけて第二波の発生が懸念されている H1N1×H5N1×△△△△=??? の答えとして何が出てくるのか、誰も解けない、そして予知ができない「謎」である。

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